大阪・中之島 レクシア特許法律事務所のブログです。

2019年10月25日金曜日

【商標実務】中国商標関連情報(使用意思のない悪意の商標登録出願について)

宗助です。

先日、当ブログで、「中国における自社商標の他人による先取り出願・登録への対応」についての記事を書かせて頂きましたが、その後も引き続き、「中国における自社商標の他人による先取り出願・登録」についてのご相談を受けることが非常に多いです。
クライアント様ご自身による公報ウォッチングや中国商標局データベース検索により発見されるケース、また拒絶決定書において同一・類似の先行商標として引用されて発見されるケースが大半です。

先日の記事でもお伝えしたとおり、この度改正される「中華人民共和国商標法」において、「使用意思のない悪意の商標登録出願について、商標局は審査の段階で拒絶をすることができ、また何人も異議申し立て、無効審判を請求することができる」との条文が追加されます(2019年11月1日より施行)。
よって、「他人による先取り出願・登録」に対して、真の権利者が異議申立または無効審判を行う際には、当該係争商標が「使用意思のない悪意の商標登録出願」に該当することを異議理由・無効理由として主張立証することが有用です。

上記商標法改正に関連し、先日、中国国家市場監督管理総局より「商標出願登録行為の規範化に関する若干規定」が公布されました(中国現地代理人事務所(北京衆天揚知識産権代理有限公司)が作成した同規定の日本語訳はこちらです)。
同規定では、2019年11月1日より施行される改正「中国商標法」第4条(上記追加条文)の適用に関する詳細な規定が設けられています。例えば、同規定は、使用意思のない不正な商標出願について、出願審査の段階、異議申立の段階、登録不許可再審の段階、拒絶再審の段階、無効審判の段階でその登録を棄却・無効宣告することができることを明確に定めています。

なお同規定において、「商標法」第4条(上記追加条文)の適用に際しては、下記(一)~(六)の点を総合的に考慮することができる旨を定めています。
(一) 出願人又はこれに関連する自然人、法人、その他の組織が出願した商標出願の数、指定商品役務の区分、商標の取引状況等。
(二) 出願人が所属する業界、経営状況等。
(三) 過去になされた行政決定又は裁定、司法判決において、出願人が悪意の出願行為若しくは他人の商標権への侵害行為を行ったと認定されたこと。
(四) 出願商標と、一定の知名度を有する他人の商標とが、同一又は類似であること。
(五) 出願商標と、著名な人物の氏名、企業の商号、企業名称の略称、その他の商業・標識等とが、同一又は類似であること。
(六) 商標登録部門が考慮すべきと考えるその他の点。

上記規定は2019年12月1日から施行されますが、施行日前に登録された悪意の商標登録について、上記規定が適用されるか否かについては、まだ明確になっておりません。

今後、更に詳しい審査基準等の改正があると考えますので、新たな情報が入り次第、またご紹介させて頂きたいと思います。

宗助智左子


情報出所:
中国国家知的産権局の公式サイト:
http://www.cnipa.gov.cn/zfgg/1143015.htm
中国国家知的産権局商標局 中華商標網:
http://sbj.cnipa.gov.cn/zcfg/sbxzgz/201910/t20191017_307435.html
中国現地代理人事務所(北京衆天揚知識産権代理有限公司)のウェブサイト:
http://www.dayup-ip.com/index/news.html



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