大阪・中之島 レクシア特許法律事務所のブログです。

2021年3月17日水曜日

意匠ではなく商標で保護するデザイン

松井です。

2020年度はコロナ禍の中においても、いろいろな団体で、意匠法改正の講演を行いました。
その中で、副題としてよくいただいたのが、
「特許と意匠のミックス」
「意匠と商標の関係」
など、意匠と別の産業財産権との違いやミックスを解説するような内容です。

商標については立体商標や新しい商標がありますので、
意匠とリンクする場面が増えてきています。

そこで、今期行った講演の中から、
意匠ではなく商標で保護するのが適当と思える登録例を紹介したいと思います。

【液体を含んでいるもの】
以下は、キッコーマン(TM)さんの醤油の卓上容器ですが、醤油が入っています。
この状態で意匠登録は不可と思われますが、商標は登録可能です。
(むしろ、需要者は醤油が入っている状態を見ているので、その方が使用による識別力の立証がしやすいと思われる)



以下のスライドで、右端はコロナビール(TM)ですが、
ビール瓶にビールが入っていてライムが添えられているところは、まさに商標の出番でしょう。意匠では登録不可と思います。
(なお、左側と中央の立体商標は複数物から構成されますので、意匠での登録はセット物に該当するかどうか悩ましいところです)



【複数物】
以下は、チュッパチャップス(TM)やフリスク(TM)の販売店での飾り付けと思われます。
意匠では、セット物に該当しない限り、多物品として登録不可の可能性ありと思われます。
しかし、このような複数物からなるデザインは立体商標として登録可能です。



以下は、パッケージの中にさらに物品が含まれているものです。
これらのものも多物品の恐れがあるので、意匠登録は悩ましいですが、商標登録は可能です。


立体商標で文字ありのものは、要部が文字にあるかもしれず、権利の実体が形状にない可能性があります(それに対して意匠では文字は要部にならず形状が要部になる可能性が高い)。
しかし、文字も含めて複数物や液体を含んでいるものなどを立体商標登録しても、牽制球としての効果は十分に果たすと思われますし、いざという場合には有名性を立証することで形状その他に要部を持っていくことも可能と思います。

意匠と商標の使い分けの一例です。

(特許との使い分けもまた紹介したいと思います)

松井宏記


↓Ranking check.
にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ