大阪・中之島 レクシア特許法律事務所のブログです。

2019年11月20日水曜日

【商標実務】ミャンマー商標法その後(再商標出願の詳細)

田中景子です。

ミャンマー新商標法(以下、「新商標法といいます)につきまして、進捗をお知らせいたします。

JETROのウエブサイトによると、知的財産関連法(商標法、工業意匠法、特許法、著作権法)が2019年5月24日に成立致しました。また、現地代理人のニュースレターから、2020年1月に知的財産庁が設立され、これに合わせて同法も施行される見通しとなった模様です。

商標に関しては、2020年1月から6月までの半年間、知的財産庁はいわゆるプレ・オープン期間(soft-opening period)を設け、商標の所有権宣誓書の登記が完了している商標のみを対象に商標出願(以下、「再出願」といいます)を受け付けるとのことです(この間、新規の商標出願は受け付けないようです)。

現地代理人からの情報によると、再出願には主に下記の書類・情報が必要となる見込みです。
(a) 商標見本
(b) 商標所有者の名称及び住所
(c) 指定商品(登記内容と同一のこと)
(d) 優先権を主張する場合、それをサポートする書類
(e) 所有権宣誓書(登記済)のスキャンコピー(原本が必要となる可能性あり)
(f) ミャンマーで本件商標をすでに使用している場合、その使用証拠(下記に例示(i)~(vi))及びミャンマーでの最初の使用日
 (i) 商標の所有権宣誓登記をした際の新聞公告
 (ii)パンフレット
(iii) 税務伝票(tax voucher)
(iv)輸入書類
(v)商標が付された商品が市場で販売されている写真など。

使用証拠に関しては、新商標法によると、「輸出用の商品やその包装に商標を付する行為」も「商標の使用」に含まれると規定されています(商標法51条(a)(3))。
したがって、ミャンマーにおいて輸出用の製品を製造し、当該製品あるいは製品の包装に本件商標を付している場合は、それを撮影した写真も、使用証拠となるかもしれません。

再出願の期間(2020年1月~6月)は、知的財産庁に多くの再出願が申請されることが予想されます。現地代理人の情報では、抵触する商標がある場合に、その順位の先後を決めるには、所有権宣誓書の登記日の先後、あるいは、ミャンマーでの使用開始日の先後が斟酌される可能性があるとのことです(商標法の施行規則は決まっておりませんので、明確ではありませんが、商標の使用証拠等は事後的に提出できるのではないかと思われます)。

いずれにしましても、所有権宣誓書の登記が完了している商標については、所有権宣誓書(登記済み)、新聞公告、使用証拠(もしあれば)の準備を開始され、再出願の手続きは、再出願が可能な期間(2020年1月~6月)のできるだけ早めに行うことをお勧めいたします。

情報元:
・JETROホームページ(https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/71e93053e5ff2e43.html
・ミャンマー商標法(JICA仮英訳):https://www.jica.go.jp/project/myanmar/006/materials/ku57pq00003l09s6-att/trademark.pdf
・Investip事務所ニュースレター
・Tilleke&Gibbins 事務所ホームページ(https://www.tilleke.com/resources/soft-opening-online-filing-system-under-myanmars-new-trademark-law

田中景子


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