大阪・中之島 レクシア特許法律事務所のブログです。

2019年3月28日木曜日

日本パッケージデザイン協会西日本での講演

松井です。

本年3月1日に、日本パッケージデザイン協会(JPDA)西日本で、
パッケージデザインの法的保護について、講演させていただきました。

JPDAでは東京で何度か講演させていただいているのですが、
今回は初の西日本での講演でした。

約50名のデザイナーの方々に、パッケージデザインの権利取得の実例についてお話しさせていただき、また、著作権についても注意点をお話し致しました。

質疑応答では、活発にご質問いただき、デザイナーの知財への関心の高さをよく理解することができました。

【講演の新聞記事】
(2019.3.25付包装タイムス)

講演会の後は、場所を移して懇親会にも参加させていただきました。
「新元号当て大会!」(面白かったです)にも参加させていただき、多くのデザイナーの方と交流させていただきました。

パッケージデザインを意匠権、商標権で保護する方法はいろいろあります。

特に、新規なパッケージデザインは、戦略立てれば意匠権で有益な権利群を取得できると思います。
すでに公開済みのパッケージデザインであっても、立体商標をうまく活用すれば、著名なものでなくても、いい権利を取得することはできます。

パッケージデザインは意匠と商標が最も交錯する分野であり、
デザインがブランド化する流れに乗って、
今後、意匠商標の中でも保護が重視されていく分野と思います。

パッケージデザイン保護は、今後も注視していきたいと思います。


松井宏記


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2019年3月27日水曜日

スマホがないと。。

松井です。

先日、スマホが通信機能を発揮できない状態で出張しました。

スマホそのままでキャリア切り替えの手続をしていて、
出張前に切り替えの利用開始手続が完了してしまい、
その時点で旧キャリアから見捨てられ、
新しいキャリアのSIMを入れるまで、スマホがネットや回線につながらない状態でした。

乗換案内アプリ使えず、メール使えず、ニュースは見れず。などなど。孤立。

乗換の検索ができないので、感覚的に早いルートをとる。
これはこれでアバウトな感じがいい。間に合えばいいのだ。笑

メールなし。
急ぎには対応できませんが、やるべきことは事務所でしてきたので、とりあえずはよし。

ニュースみれず。
街頭でニュースが掲示板などに流れていると、ついつい読む。昔はこうしてた。

コンビニでのキャッシュレス決済。
おそらく使えないので使わず(使えるかどうかをグーグル先生に聞くこともできず)。
久々にコンビニで現金を使う。1円単位で出そうとするので時間がかかる!

なかなか不安です。
10年前までは全然大丈夫だったものが、不安の塊みたいな人間に。
自分が弱くなったんかな?と思いましたが、
スマホのあまりの便利さで、不便を楽しめなくなってたことを認識しました。
不便があった方が緩くいけそうな気がする。。

たまには、スマホを置いて出かける日も作ってみようかと思う出来事でした。
(といいつつ、周りに迷惑をかけるので、今日もスマホを持って出かけてしまう。。)

松井宏記



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2019年3月15日金曜日

3Dデータと意匠権

松井です。

Brexitの方は、日本時間15日午前3時半に、イギリス議会はEU離脱延期を可決し、これからEU議会が延期を承認するかどうかの段階です。

英議会 EU離脱 6月30日まで延期を条件付きで可決

しかし、離脱延期にはEU議会の全会一致が必要ですので、まだどうなるかわかりません。というわけでBrexitの話題から離れます。


先日、名古屋で、「3Dデータと意匠権」というテーマで講演しました。



このテーマについては、大阪大学大学院法学研究科の青木大也先生が、とても整理された論文を発表されています。
「3Dデータとしてのデザインの保護と意匠法 ―3Dスキャナ・3Dプリンタを素材に―」

3Dデータは無体物ですので、登録意匠に係る3Dデータを他人が生み出した場合の取り締まりが難しい。
間接侵害での取り締まりも考えられますが、「のみ品」に該当する場合はかなり限定的と言わざるを得ないといえます。
(事業として、3Dデータをもとに生み出された立体物を販売などすれば、通常の意匠権侵害になります)

先日閣議決定された意匠法改正には間接侵害規定の改正もあります。
しかし、これは3Dデータの取り締まりをターゲットとしたものではなく、文言上も3Dデータへの権利行使は不明確またはかなり限定的のままと言えます。

デジタル技術の発展とともに、意匠法も進化する必要があります。
(・・と大きなことを言いましたが、まずは改正法を勉強します!)


松井宏記

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2019年3月13日水曜日

Brexit後のEU商標の英国での保護(詳細版)

田中景子です。

先日、松井から「合意なき離脱の場合」についての記事をアップしましたが、
今回は、「合意ある離脱の場合」も含めて詳細版をアップします。

Brexit(英のEU離脱)に関連し、離脱協定の締結期限(2019年3月29日)が迫るなか、英国内では、依然として、離脱協定の採否や、EU離脱延期の可能性などが議論されています。

その中で、英国政府は、2019年3月1日付けで、「合意なきEU離脱の場合の商標法への変更(原題:Guidance「Changes to trade mark law in the event of no deal from the European Union」)という指針を公表しました。

Brexit後、EU商標は英国でどのように保護されるのか。
以下、離脱合意のある場合/合意ない場合に分けて紹介します(直近の2019年3月1日英国政府の指針を参考に)。

(1)離脱合意のある場合
現行の離脱協定案によると、完全離脱までの移行期間である2020年末(=2020年12月31日)の後、EU商標は、英国で以下のように保護されます。

離脱日(2020年12月31日)直前までに登録されたEU商標は、離脱日に、当該EU商標と同等の英国の国内商標権が、自動的にEU商標権者に新たに設けられます(国内商標権の取得に費用は発生せず、且つ手続的負担もありません)。

離脱日時点で審査に係属中のEU商標は、離脱日に、当該EU出願の先願日や優先日を維持するために、当該EU商標と同等の英国の国内商標を出願する権利がEU商標権者与えられるにすぎません。したがって、原EU商標の出願人は、離脱日から9ヶ月以内(2021年9月30日まで)に英国政府に対して国内商標を出願する必要があります。出願手続きや費用の詳細は決まっていませんが、通常の国内出願と同等の庁料金を支払っての新規の国内出願となるのではと推測されています。

(2)離脱合意のない場合
2019年3月1日指針によると、離脱日直前までに登録されたEU商標は、離脱日に、当該EU商標と同等の英国の国内商標権が、EU商標権に新たに設けられます。同指針によると、この国内商標権は、英国の商標法下で出願され且つ登録されたように取り扱われます。原EU商標とは完全に独立した権利として、異議・譲渡・ライセンス・更新の対象となります。

英国の国内商標権の取得にあたり、費用は発生しません(ただし、最小限度の行政的負担が権利者に求められます)。

英国の国内商標の登録番号は、英国政府の作業の簡便化のため、EU商標番号の下8桁の頭に「UK009」を付けた番号になります。たとえば、EU商標の番号が「000000977」の場合、これに対応するUK商標の番号は、「UK00900000977」となります。

英国の国内商標の商標登録証は発行されず、代わりに、英国政府のオンラインデータベースで確認できます。

離脱日の時点で審査に係属中のEU商標は、離脱日に、当該EU商標と同等の英国の国内商標を出願する権利が与えられるにすぎません。したがって、原EU商標の出願人は、英国政府に対して国内商標出願を行う必要があります。特に、当該EU出願の先願日や優先日を維持するためには、離脱日から9ヶ月以内に国内出願を行う必要があります(原EU商標の同一の商標、指定商品・役務範囲内であることも要件です。この要件を満たさない場合、原EU商標の出願日の利益を享受できません)。

当該国内商標出願は、英国の商標出願として取り扱われ、英国商標法に基づき審査されます。

(3)まとめ
以上の通り、離脱合意ある/なしにかかわらず、EU商標の英国での保護に大きな違いはないと思われます。すなわち、離脱日直前までに登録済みのEU商標に対しては、新たに英国の国内商標権が設けられて保護されます。

 一方、離脱日時点で審査に係属中のEU商標に対しては、離脱合意ある/なしにかかわらず、英国政府は、保護のためのアクションは取りません。EU商標の出願人は、当該EU商標と同様の保護を英国でも享受するためには、自ら、英国政府に対して新規に国内出願手続きを行う必要があります。特に、原EU商標の先願日や優先日を維持するためには、離脱日から9か月以内に出願手続きを行う必要があります。

また、離脱日後に設けられる英国の国内商標権の更新管理に注意が必要です。同指針では、英国の国内商標権は、原EU商標権とは別の独立した権利となるため、英国の国内商標権の更新手続は、英国政府に行う必要があると明記されています。なお、離脱日前後で更新が可能なEU商標権について、離脱日前にEUIPOに更新手続きを行った場合、離脱後に発生する英国の国内商標権には再び更新手続きが必要か。離脱協定案にも当該指針にも明記されていません。よって、離脱日後に更新期限を迎えるが離脱日前に更新が可能なEU商標権については、更新手続きの時期については、現地からの情報を得てから慎重に検討されるとよいかと思います。

なお、昨日の3月12日、イギリス議会は、EUからの離脱条件を定めた協定案を再び否決しました。
そして、13日には、このまま「合意なき離脱」を行うのかを議会で諮ることにしています。そこでも否決濃厚との報道もあり、その場合には、14日に「離脱延期」の採決も行われます。Brexitは混迷しています。


田中景子


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2019年3月11日月曜日

Brexit 合意なき離脱に備えて

松井です。

イギリスがEUから離脱する離脱日、2019年3月29日が迫っています。
しかも、EUとイギリスと間に合意がない離脱(Hard Brexit)になるかもしれません。

みなさんもご存知の通り、Brexitによって、知財で大きく影響を受けるのは意匠商標です。

以下、「合意なき離脱の場合」の取り扱いをまとめます。

(1)全てのEU登録(ヨーロッパ商標およびヨーロッパ意匠、マドプロEU指定およびハーグEU指定)は、離脱後(2019年3月29日後)、イギリスに自動的に拡張されます。
 よって、離脱時点(2019年3月29日)で登録済みの案件は、何もしなくていいということになります。

(2)しかし、離脱時点(2019年3月29日)で、出願中のEU案件(ヨーロッパ商標およびヨーロッパ意匠、マドプロEU指定およびハーグEU指定)は、自動的にはイギリスに拡張されません。イギリスで保護を求める場合には、出願人は離脱日(2019年3月29日)から9ヶ月以内(2019年12月29日まで。しかし、12月29日は日曜なので次の30日まで)に、イギリスで同等の権利を求めるために申請をしなければなりません。この場合、EU出願の出願日、優先日、シニオリティは維持されます。
 よって、離脱時点(2019年3月29日)で出願中の案件は、イギリスに再出願するかどうか検討を行い、再出願を行う場合には2019年12月29日までに再出願を行います。

(弊所取扱の事案で上記(2)に該当する場合には、個別に連絡致します。)


松井宏記


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2019年3月7日木曜日

ミャンマー新商標法について

田中景子です。

ミャンマー商標法(以下、「新商標法」といいます。)が2019年1月30日に議会を通過しました。新商標法では、出願による商標登録が認められました。

新商標法の概要
新商標法の概要は以下の通りです。
・先願主義を採用しました。出願日(願書の受理日)を基準に出願が審査されます。願書には、商標、国際分類に基づく区分及び指定商品・指定役務、出願人の情報等、優先権を主張する場合はその旨を記載します。商標所有権宣誓の登記がある場合、登記書類を願書に添付します。
・商標の所有権の宣誓を登記した商標について、新商標法へ自動的に移行するとの規定はなく、ミャンマーで商標の保護を享受するためには、新たに商標出願を行い、商標登録する必要があります。
・審査官は、商標の絶対的要件について審査をします。絶対的要件に問題がないと判断された出願は、出願公告されます。その後、出願公告日から60日間の異議申立期間が始まります。異議申立の手続きでは、絶対的要件及び相対的要件が異議理由となります。
・異議申立期間が問題なく経過すれば、登録料を支払い商標登録が認められます。商標権の権利期間は、出願日から10年間です。
・登録から過去3年間の不使用に基づく取消審判制度や無効審判制度などの規定も設けられています。
・その他、新商標法の規定によると、ライセンスの登録申請がないライセンス契約は、効力を有さないと明記されています。したがって、ライセンス許諾予定の商標の場合は、商標出願を行い、商標登録後、当該商標登録に基づくライセンス申請を行う必要があります。

今後の留意点
新商標法は、大統領の発効日通知、及び、関連規則等や官庁(The Myanmar Intellectual Property Office (MIPO)の設立など)の整備が完了された後、発効・施行される予定です。

新商標法の施行に先立っての留意点は以下2点です。

 (a) 商標の所有権の宣誓登記等
ミャンマーで商標の保護を享受するためには、従来からの慣行通り、1908年の登録法に基づく商標の所有権の宣誓登記、及び、日刊紙での警告通知を行うことが必要です(実務上、これらの文書は、商標の所有権を主張する際の証拠書類とされています)。
なお、商標の所有権の宣誓登記を行った商標については、新商標法においても、以下のメリットを享受できる可能性があります。
新商標法では、同一または類似の商標の同日出願について、まず、両者による協議が義務づけられ、かかる協議不成立の場合は、審査官の決定に従わなければならないと規定されています。現地代理人の推測では、上記の決定判断において、出願商標が所有権宣誓登記されているか、ミャンマー国内で使用されているかなどの事実が考慮されうるとのことです。したがって、同日出願に該当した際の対応策として、商標の所有権の宣誓登記、及び、ミャンマーでの出願商標の使用実績がある場合は、その証拠を蓄積しておくことが望ましいと考えます。

(b)使用実績に関する証拠の準備(冒認出願への対応として)
ミャンマーですでに使用が始まっている商標の場合は、第三者による冒認出願への対応策として、ミャンマー国内における使用商標の新聞・雑誌での広告掲載、製品の売上高、シェアなどの商標の使用実績を証拠として保存しておくことも望ましいです。新商標法では、他人の未登録の周知商標と同一または類似の出願商標に対して異議申立または無効審判を請求できます。したがって、これらの証拠を蓄積しておくことで、たとえば、新商標法の施行後、ウォッチングで見つかった商標に迅速に異議申立を行うことができます。


田中景子


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2019年3月5日火曜日

意匠法の大改正について

鈴木です。

3月1日に意匠法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。

改正内容は以下の通りです。

------------------------------
(1)保護対象の拡充
物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインを、新たに意匠法の保護対象とします。

(2)関連意匠制度の見直し
・関連意匠の出願可能期間を、本意匠の登録の公表日まで(8か月程度)から、本意匠の出願日から10年以内までに延長します。
・関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認めます。

(3)意匠権の存続期間の変更
「登録日から20年」から「出願日から25年」に変更します。

(4)意匠登録出願手続の簡素化
・複数の意匠の一括出願を認めます。
・物品の名称を柔軟に記載できることとするため、物品の区分を廃止します。

(5)間接侵害規定の拡充
「その物品等がその意匠の実施に用いられることを知っていること」等の主観的要素を規定することにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まれるようにします。
------------------------------

上記(1)(5)の中でも特に「(1)保護対象の拡充」及び「(2)関連意匠制度の見直し」が、今後の知財戦略に与える影響が大きいと考えます。

(1)保護対象の拡充については、新たに以下のような意匠が登録可能になります。

(例)
・クラウド上に保存され、ネットワークを通じて提供される画像の意匠
・壁や道路等に投影された画像の意匠
・建築物の外観や内装の意匠

やはり意匠権を取得できなかったものができるようになるという点は非常に大きい変化です。
それにより、上記意匠に関連のあるネットワーク業界や建築業界等の企業は、自社独自のデザインを守るための手段として新たに意匠権を活用できるようになり、意匠権を加えたより強い知財戦略を立てることが可能になります。

また、内装の意匠権については、建築関連企業だけでなく、全国にチェーン展開しているような飲食関連や小売関連の企業にとっても企業独自のブランドイメージを守るために活用できるものと考えます。

 次に、(2)関連意匠制度の見直しついては、これにより、例えば、自動車等のマイナーチェンジのように、長期にわたり一貫したコンセプトに基づき継続して開発されるデザインを関連意匠として保護することが可能になります。

 また、従来であれば、本意匠の出願時点で、先行きが読めない中で将来のデザイン変更まで見越した複数の関連意匠の出願を検討・出願しなければなりませんでしたが、本改正により、新たなデザインが完成した時点で関連意匠の出願を検討できるようになったため、デザイン開発に則した無駄の少ない出願戦略を立てやすくなります。

 ただし、関連意匠の出願期限は延長されたものの、将来出願する予定の関連意匠に類似する意匠がその関連意匠の出願前に他社により公開・出願されてしまえば、その関連意匠を登録することはできませんので、法改正後であったとしても、広い意匠権群を形成するために、本意匠の出願時点で、将来のデザイン変更等を予測して複数の関連意匠を出願するというスタンスは変わらないと考えます。知財において先を予測して先手を取ることは重要です。
 
本改正の内容を踏まえて、弊所では、知財戦略に関して継続すべきところと新しくすべきところを明確にし、最適な戦略をクライアントにご提案できるように今後も情報収集と分析を続けて参りたいと思います。

鈴木行大

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