ノート型パソコンの中でも、人々を感動させるデザインの一つと言えるのが、MacBook Airです。
http://www.apple.com/jp/macbookair/design.html
Apple社ウェブサイトより転載
「全体が圧倒的に薄く、ユーザーの手元に来るほどさらに薄くなる傾斜が付いたデザイン」
これがMacBook Airの形状のデザインコンセプトではないでしょうか。小生もこのコンセプトに惹かれたユーザーの一人です。
この度、アメリカで、MacBook Airの傾斜型デザインが意匠登録されたとの記事がありました。
「MacBook Air」の傾斜型デザイン、アップルが意匠権を取得
Ultrabooks beware: Apple receives broad patent on MacBook Air wedge design
そのUS意匠権とはこれです。
US D661296 Electronic Device
第2実施例におけるグレー着色は、外観輪郭を示すものであって、装飾ではないとされています。
単に薄く傾斜という外形だけでなく、外側の緩やかな曲線表面も等高線を用いて明確に表して、MacBook Airの特徴を意匠権として保護しています。
また、端子等の変更の可能性がある部分(又は形状を特定しにくい部分)は破線にてディスクレームしています。
弊所が部分意匠のパターンとして「ディスクレーム型」と呼んでいるタイプの意匠です。
権利が欲しい部分を積極的に実線にするタイプではなく、権利が要らない部分を積極的に破線にするタイプです。
Apple社の意匠権はこのような「ディスクレーム型」部分意匠が多いと思います。すなわち、外形や輪郭を抑えにいく一方で、不要な部分は潔くディスクレームします。
小生は、このような、一見単純な形に見える意匠の外形を保護するディスクレーム型部分意匠は、他社への牽制力が強いと考えています。
特に今までにないデザインコンセプトで、一見単純に見えるが、詳細に外形や輪郭を設計したデザインの場合は、詳細に図面を作成し、変更可能性のある部分は破線にして「ディスクレーム型」部分意匠を取ることをお勧め致します。
一見単純な形に見えても、その形を図面で的確かつ詳細に表すことにより、デザイナーが創作した部分を明確にすることができ、意匠としての特徴が生まれて登録される場合があります。
このような登録意匠は、印象的に外形輪郭は共通しているが細部は異なる製品に対して強い牽制球を放つことができます。ここに部分意匠の強さがあると思います。
意匠戦略のご参考まで。
松井宏記
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