山田です。
昨年の11月から、前任の松井弁理士から引き継ぐような形で、弁理士会の中央知的財産研究所の研究員をしています。
研究テーマは「知的財産権侵害に基づく差止請求権を巡る諸問題」。
名古屋大学の鈴木將文教授を中心に、学者5名、実務家6名(うち弁護士が4名)の研究員とオブザーバーとして参加の学者、実務家が毎月集まって、熱い議論を戦わせています。
【中央知財研の研究成果を掲載している別冊パテント】
当職以外の研究員はなかなかにそうそうたるメンバーですが、「大阪の弁護士は噛みついてナンボ!」との格言を信じ、毎月、大先生方に噛みついてきています!
今回の研究テーマは、ともすると差止請求権の制限論に傾きがちなテーマですが、当職は、「差止請求権の実効化のための特許権侵害仮処分事件の審理のあり方」というテーマで、特許権者の立場で仮処分制度をより効果的に活用する方法及び制度の在り方に関して、発表をさせてもらいました。
特許権者は自らの特許権が侵害されている場合、特許権侵害訴訟(本案訴訟)に先立って、または、これと並行する形で、侵害行為差止の仮処分の申し立てをすることができます。
この仮処分の申立は、特許権侵害品の排除を早期に実行できる非常に有益な制度ですが、近年、仮処分の申立件数は伸び悩んでおり、特に、特許権侵害の案件での仮処分の件数は、大阪地裁で年間数件程度といったさびしい状況にあります。
仮処分の申立件数が伸び悩む理由としては様々な理由が考えられますが、
① 特許の案件の場合、本案と並行審理がなされることが多く、期待しているほど早く決定がもらえないこと、
② 仮処分決定後に判断が覆って本案訴訟で特許権者が敗訴した場合に、損害賠償を負うリスクがあること
が主たる理由として挙げられると思います。
このようなマイナス要素をなんとかコントロールして(具体的には審理の迅速化と損害賠償義務の限定化を図ることで)、仮処分制度をもっと使いやすい制度にできないか??
そんなテーマで研究を行っています。
と、期待感だけ持たせますが・・。
詳細は、来年、発行されるパテントの別冊で論文として発表する予定ですので、お楽しみに(論文発表後に、弊所ウェブサイトにもアップさせてもらいます)。
また、仮処分を効果的に活用するための実務的なテクニックに関しては、実際の案件の中でフルにお見せしたいと思います!
山田威一郎
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