松井です。
連日、中国におけるiPhoneやiPadの商標権問題に関する報道がなされています。
小生も報道機関からの取材を受け、中国商標リスクについてコメントしました。
報道を見ている限り、この二つの事件は性質が異なります。
iPadの事件は、iPadの権利がアップルに属するか、それとも、中国企業に属するかの問題(過去のアップルの譲渡契約が有効かどうか)と思われます。この件はアップルが買い取り目的を偽ったとして、中国企業がアメリカでも訴訟提起しています。
iPhoneの事件は、中国企業が、iPhoneが照明器具等に登録されていないから、同分野について商標登録を行った事案と思われます。iPhoneは携帯情報端末(又は携帯電話)であって、照明器具でないことは明らかです。
いずれにしても、マスコミを通じて、アップルは「厄介なこと」に巻き込まれました。
これに対する専門家のコメントは「アップルは商標出願をしておくべきだった」というものが多いです。しかし、両件をトータルに見て、本当にそうでしょうか。
特に、iPhoneの事件、中国企業は照明器具について登録しているようです。このような登録を阻止するためにアップルは照明器具にまで商標登録すべきだったでしょうか?
日本企業の場合、中国に商標出願する際には、不正登録を阻止したい範囲(商品役務)を社内で明確にしておく必要があります。そして、製品そのものの範囲、競合他社に権利取得をされたくない範囲、及び、不正登録を阻止したい範囲については商標出願しておく。中国においてはこの範囲を広めに捉えるという対策が今は必要です。
このように守りたい範囲を明確にしておかないと、際限なく商標出願しないとリスク回避できないということになります。また、同一商標を非類似分野について中国企業が登録した際に慌てることになります。
中国商標リスクを解消するための特効薬は、もちろん、「中国で商標出願して商標権を取ること」です。そして、その範囲(商品役務)については出願前に社内で意思統一を図り、出願する範囲と放っておく範囲とを明確にしておく必要があります。
また、出願商標の態様(アルファベット、簡体字、ピンイン、ロゴ等)をどのようにするかについても、検討が必要です。中国には独特な類否判断基準や文字認識がありますので、出願商標の選択には留意すべきです。
具体的な案件については、お気軽にご相談ください。
(先日の中国商標セミナーの様子)
松井宏記
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